青春時代の一瞬、強烈に自身の脳裏に、まるで映画のスクリーンのように刻まれたシーンがある。
少し肌寒い、秋の神宮第二球場 第一試合。
甲子園の常連の強豪・日大一高と、春夏通じて、まだ一度も甲子園に出場したことのない帝京高校との、秋の本大会一回戦の屈指の好カードがはじまる。
試合前のノックから、両校の緊迫した雰囲気が、バックネットから観戦していた自分のところまでビンビンと伝わってくる。
帝京高校は青年前田三夫監督。
まだ春夏を通じて一度も、甲子園に帝京高校を導いたこといはない。
試合前のノックは、合宿練習を思い浮かべる、まるでケンカノック、鋭い打球を放つ。
まだ一人の、無名の青年監督にすぎない。
だが、全身から情熱が、ほとばしる。
この若き無名の青年監督を目の当たりにして
「帝京は、強くなる」とバックネット裏で観戦しながら予感する。
一方の、日大一高は、甲子園夏4季連続出場を成し遂げた強豪名門校だ。
それも夏4季連続甲子園出場は、東京一代表枠時代の記録だ。
一回戦だが、勝ったほうが、選抜出場を決めるかのような緊迫した、一戦だった。
前年の夏は、5-1で、日大一高が勝ち、この夏は、帝京が12-6で打ち勝っている。
両校の試合前の挨拶から,試合に賭ける気迫がすさまじく、
緊迫感が漂い、何か殺気立っていた感がある。
試合は、一高の右の好投手と帝京高校の同じく右腕の好投手、両エースの投げあいになった。
両校のエースともに、制球力がある。
帝京高校のエースは、小刻みでテンポとリズムがあるピッチング。
一高打線を寄せつけない。
時折、利き腕で、グラブをポンとたたき、間合いをとる。
気持ちを切りかえ、打者に向かっていく。
帝京高校は、序盤は、塁へでても、バントでは決して送らず、足技をからめて、揺さぶりをかけるチームだ。
徹して、強気、強攻の帝京。
両エースの投げあい、両校の緊迫して引き締まった守りと攻め。
試合は、最後まで緊迫した試合になり、ほんの僅差で、帝京が逃げ切った試合だった。
しかし、この一戦一勝が、帝京の新たな時代のスタートの幕開けとなる。
日大一高戦を僅差で破り、勢いに乗り、決勝まですすみ、明年春、春夏通じて初めて甲子園出場を果たすことになる。
甲子園の常連の名門校と、新興勢力校との忘れられない一戦だった。
春の選抜初出場し、無名だった帝京高校・前田三夫監督は、さらに常勝軍団をつくりあげていく。
そして、21世紀
あの情熱は、今も変わらない。
【野球に学んだ大切なこと】
無名な青年監督の情熱。
はじめは、誰も無名だった。
~あの情熱は、ありますか~
PS. 『野球小僧~高校野球小僧2009夏号』に、帝京高校 前田三夫監督と
日大三高の小倉全由監督のインタビューが掲載されています。どちらも、胸が熱くなる
指導者としてのインタビューとなっています。是非、一読ください。
僕は、日大二高の田中吉樹監督にも、お二人の監督と同じ熱い心の鼓動を感じています。だから、現体制を、全身全霊・全力で応援しています。
『新しき時代のチームを創るのは、青年監督の熱と力である』この言葉を、信じています。
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