「一球をおろそかにする者は、一球に泣く」
この言葉を教えてくれたのは、大学の野球部時代の日大三高出身の先輩だ。
午後の練習中に、先輩から呼ばれる。
「英伍(えいご)!」(僕の大学野球部時代のニックネーム)
「すまんが、合宿所の俺の部屋、掃除しておいてくれ」と頼まれる。
三高OBの先輩の合宿部屋を掃除する。
練習日誌が、机の上にあった。
「さすが三高OB すげえな・・・」と分厚い野球の練習日誌の表紙を見る
表紙に、「一球をおろそかにする者は、一球に泣く」とあった。
どうやら三高野球で、語り告がれている教えらしい。
掃除のあと、先輩の部屋で仮眠させていただいた。
先輩の目覚ましを午後3時にセット。30分仮眠させていただく。
翌日、先輩から「掃除サンキュー。だけど、英伍、俺の部屋で寝ただろう?
目覚ましが3時になっていたぞ」といわれる。
思わず、「(目覚ましの針をもとに直すの)アっ 忘れた。!」
「しまった!」と顔に書いてある。
先輩は、にこっと、笑ってゆるしてくれた。
一球一打を、ほんとうに大切にされていた先輩。
先輩は、東京六大学野球・春のリーグ戦で首位打者をとる。
変わって、日大一高出身の先輩、強肩強打の三塁手だ。
グランドでは、元気な声がよくとおる。
僕が同期と住んでいた下宿に訪ねてくる。
机の上に、一冊の手帳を置く。
ちょっとだけ、先輩が席をはずす。
「なんだこれ?」
見てみると、手帳の中身は、野球の練習日誌。
一高OBの先輩の手帳は、練習日誌だった。
手帳の中には「われ以外皆わが師」(吉川英治)と書かれている。
練習内容が、詳細に書かれている。
「すげえなー」と感心する。
先輩がもどってきた。
すると先輩が、「てめえー、手帳みただろう!」と怒られる。
一高OBの先輩も、見た目は豪放だけれど、繊細に野球をしているんだと感心する。
先輩は、最上級生になり、神宮で大活躍される。
手堅い守備、抜群の強肩、腕の振りが大きく、とにかく早い。
パンチ力のある打撃で、神宮球場にホームランを放つ。
最後に、母校OBの青山学院大学野球部に入部した同期。(2年の夏甲子園では、6番ライト)。
やはり、詳細に野球日誌をつけていた。
バッティングや、ピッチング(3年の夏は、マウンドにもたった)についても書いていた。
東都大学野球リーグではベストナインをとり、社会人都市対抗野球でも大活躍する。
神宮球場で大活躍した3人の共通項は、「練習日誌」をつけていたといこと。
さらに、高校時代に教わった教えを大切にされていたこと。
グランドでは、主観的に、積極的にプレーし、グランドをはなれては、練習日誌をつけ、客観的に自己を振り返る。この反復繰り返されていた。
神宮球場で大活躍した、先輩同期の選手に、たくさんのことを学ばせていただいた。
感謝。
【野球に学んだ大切なこと21】
練習日誌は、自己を客観視する貴重な道具
~日誌をつけていますか~
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